日本キリスト改革派札幌教会

第61問

問61 第四戒では、何が禁じられていますか。


答 第四戒が禁じている事は、求められている義務を怠るか不注意に果たすこと、この日を怠惰により・それ自体罪である事を犯すことにより・また私たちの世俗の職や娯楽を必要もなく思い語り行うことによって、汚すことです。

「求められている義務を怠るか不注意に果たすこと」


 求められている義務とは何でしょうか。
礼拝行為を抜かりなく行うことでしょうか。
安息日を抜かりなく守ったように見えても、義務は果たされていません。

「このことを聞け。貧しい者を踏みつけ、苦しい農民を押さえつける者たちよ。お前たちは言う。『新月祭はいつ終わるのか。穀物を売りたいものだ。安息日はいつ終わるのか。麦を売り尽くしたいものだ。エファ枡を小さくし、分銅は重くし、偽りの天秤を使ってごまかそう。弱い者を金で、貧しい者を靴一足の値で買い取ろう。また、くず麦を売ろう。』」(アモス8:4-6)

 この罪の世にあって、主が求めておられるのは、その民が行う「安息日のあのこと、このこと」にとどまらず、その民自身です。自分自身を聖なるいけにえとして献げることを求めておられます。それこそ、礼拝の日である安息日に求められている義務です。(ローマ12:1-2)

「私たちの世俗の職や娯楽を必要もなく思い語り行うことによって、汚すこと」


 安息日は神を喜ぶ日です。
しかし、そのためには、自分で自分を打ちたたくようにして従わせることも避けられません。それが、罪の世にあって生きる私たちの現実です。

「安息日に歩き回ることをやめ、わたしの聖なる日にしたい事をするのをやめ、安息日を喜びの日と呼び、主の聖日を尊ぶべき日と呼び、これを尊び、旅をするのをやめ、したいことをし続けず、取り引きを慎むなら、そのとき、あなたは主を喜びとする。」(イザヤ58:13-14)

世俗の職は大切であり、世俗の娯楽も捨てがたいでしょう。
しかし、神を喜ぶことには比べられません。
そのことがますます明らかにされますように。

第62問

問62 第四戒に加えられている理由は、何ですか。


答 第四戒に加えられている理由は、神が週の六日を私たち自身の職のために使わせてくださること、神が第七日には特別の所有権を主張されること、神御自身が模範を示されたこと、神が安息日を祝福しておられることです。

「第四戒に加えられている理由」


 第四戒は、極めて念入りに命じられています。
第四戒に加えられている理由はこれです。

「六日の間に主は天と地と海とそこにあるすべてのものを造り、七日目に休まれたから、・・・」(出エジプト20:11)

キリスト者は、働くために苦労しますが、休むためにも苦労せざるを得ません。主は、私たちのそのような二重の苦労をよくご存知です。

「主よ、あなたはわたしを究め、わたしを知っておられる。座るのも立つのも知り、遠くからわたしの計らいを悟っておられる。歩くのも伏すのも見分け、わたしの道にことごとく通じておられる。」(詩編139:1-3)


 私たちは主の所有(もの)です。
だから、主のものとして、主を信頼して大いに働きましょう。
 しかし、そればかりではなく、主を信頼してもっと上手に休みましょう。
人間のまじめさは、休む余裕を失いがちになります。
 しかし、信仰のまじめさは、私たちに休むことを教えてくれます。
神は、御自身を信頼して休むことを奨励し、安息日を祝福しておられます。
週ごとの安息日を通して、主に信頼して休むことを学んでまいりましょう。
安らかな信頼を学ぶのです。

「わが主なる神は、こう言われた。『お前たちは、立ち帰って静かにしているならば救われる。安らかに信頼していることにこそ力がある』と。しかし、お前たちはそれを望まなかった。お前たちは言った。『そうしてはいられない。馬に乗って逃げよう』と。それゆえ、お前たちは逃げなければならない。また『速い馬に乗ろう』と言ったゆえに、あなたたちを追う者は速いであろう。」(イザヤ30:15-16)

第63、64問

問63 第五戒は、どれですか。


答 第五戒はこれです。「あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜る地で、あなたが長く生きるためである。」

問64 第五戒では、何が求められていますか。


答 第五戒が求めている事は、あらゆる人が目上、目下、対等といういろいろの地位と関係において持つ名誉を守り、義務を果たすことです。

「あなたの父母を敬え」


 言うまでもないことですが、敬うべき相手は父母だけではありません。
父母に始まって、あらゆる人間関係に尊敬を持つようにと導くのが、神のご計画です。

「すべての人を敬い、兄弟を愛し、神を畏れ、皇帝を敬いなさい。」(第一ペトロ2:17)

父母への尊敬がその出発点です。
それゆえ、特に厳しく父母への尊敬が命じられています。(レビ20:9、申命記27:16、箴言20:20)

「いろいろの地位と関係において持つ名誉を守り、義務を果たすことです。」


 私たちは、いろいろな地位と関係において、互いに出会います。そして、そのいろいろな地位と関係にふさわしい仕方で、互いの名誉を守り、義務を果たさなければなりません。親は親としての義務を果たしつつ、子供の名誉を守ります。また、反対に子供も子供としての義務を果たしつつ、親の名誉を守ります。これは、あらゆる人間関係に当てはめることができるでしょう。そのようにして、あらゆる関係の中でその人間関係のあり方を試されつつも、互いの尊敬が成長し続けるならば、幸いです。

「キリストに対する畏れをもって、互いに仕え合いなさい。」(エフェソ5:21)

「すべての人を敬い、兄弟を愛し、神を畏れ、皇帝を敬いなさい。」(第一ペトロ2:17)

「兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。」(ローマ12:10)


 しかし、罪の中にあっては、尊敬すら傲慢なものになってしまうおそれがあります。使徒は、神を畏れる者にふさわしい尊敬を、教会に教えました。

「兄弟たち、あなたがたのためを思い、わたし自身とアポロとに当てはめて、このように述べてきました。・・・だれも、一人を持ち上げてほかの一人をないがしろにし、高ぶることがないようにするためです。あなたがたをほかの者たちよりも優れた者としたのは、だれです。いったいあなたの持っているもので、いただかなかったものがあるでしょうか。」(第一コリント4:6-7)


神を畏れつつ、尊敬の意味をいろいろな人間関係の中で学んで参りましょう。

第65問

問63 第五戒は、どれですか。

答 第五戒はこれです。「あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜る地で、あなたが長く生きるためである。」

問65 第五戒では、何が禁じられていますか。

答 第五戒が禁じている事は、あらゆる人がそのいろいろの地位と関係において持つ名誉と義務を、無視したり、それに反する何かを行うことです。

「そのいろいろの地位と関係において持つ名誉と義務」


 私たちは、「いろいろな地位と関係において」互いに出会います。
親子として、兄弟姉妹として、友人として、先生と生徒として、上司と部下として・・・。そのような目上、目下、対等という「いろいろの地位と関係において持つ名誉と義務を果たすこと」が第五戒において求められていることであり、それを「無視したり、それに反する何かを行う」ことが第五戒において禁じられていることです。


 主は、それぞれの地位や関係にふさわしい「名誉と義務」が守られるように目を注いでおられます。それゆえ、イスラエルの指導者たちを次のように叱責なさいました。

「災いだ、自分自身を養うイスラエルの牧者たちは。牧者は群れを養うべきではないか。お前たちは乳を飲み、羊毛を身にまとい、肥えた動物を屠るが、群れを養おうとはしない。お前たちは弱いものを強めず、病めるものをいやさず、傷ついたものを包んでやらなかった。また、追われたものを連れ戻さず、失われたものを探し求めず、かえって力ずくで、苛酷に群れを支配した。」(エゼキエル34:2-4)

また、信仰を口実にして父母を敬わない者たちをも叱責なさいました。

 「なぜ、あなたたちも自分の言い伝えのために、神の掟を破っているのか。
神は『父と母を敬え』と言い、『父または母をののしる者は死刑に処せられるべきである』とも言っておられる。それなのに、あなたたちは言っている。『父または母に向かって「あなたに差し上げるべきものは、神への供え物にする」という者は、父を敬わなくてもよい』と。こうして、あなたたちは、自分の言い伝えのために神の言葉を無にしている。」(マタイ15:4-6)


 それぞれの地位と関係に応じて大切にされなければならない「名誉と義務」があります。主への悔い改めと新たな従順をもってこの戒めに従って参りましょう。

「互いに愛し合うことのほかは、だれに対しても借りがあってはなりません。
              人を愛する者は、律法を全うしているのです。」(ローマ13:8)

第66問

問63 第五戒は、どれですか。

答 第五戒はこれです。「あなたの父と母を敬え。これは、あなたの神、主が賜る地で、あなたが長く生きるためである。」

問66 第五戒に加えられている理由は、何ですか。

答 第五戒に加えられている理由は、この戒めを守るすべての人に対する、(神の栄光とその人自身の益になるかぎり)長寿と繁栄との約束です。

「神の栄光とその人自身の益になるかぎり」


 第五戒が求めるところを行い、禁じるところを避けて生きる人々に、この戒めは長寿と繁栄を約束しています。
しかし、小教理問答はここに一つの但し書きを添えています。

「神の栄光とその人自身の益になるかぎり」
 長寿も繁栄も、ただそれだけで神の栄光をあらわして、その人自身の益になるものではありません。
長寿について、こう教えられています。

「たとえ、千年の長寿を二度繰り返したとしても、幸福でなかったなら、何になろう。
すべてのものは同じひとつの所に行くのだから。」(コヘレト6:6)

「人間にはただ一度死ぬことと、その後に裁きを受けることが定まっている・・・」(ヘブライ9:27)


 また、死ぬまで安泰で財をなした者について、その「行く末」を見分けるように、聖書は信仰者たちに教えます。(詩編73:3-20)

「沈黙して主に向かい、主を待ち焦がれよ。繁栄の道を行く者や悪だくみをする者のことでいら立つな。」(詩編37:7)

「罪人らのことに心を燃やすことはない。日ごと、主を畏れることに心を燃やすがよい。
確かに未来はある。あなたの希望が断たれることはない。」(箴言23:17-18)

第67-68問

問67 第六戒は、どれですか。

答 第六戒はこれです。「あなたは殺してはならない」。

問68 第六戒では、何が求められていますか。

答 第六戒が求めている事は、私たち自身の命と他人の命を守るために、あらゆる正当な努力をすることです。

「あらゆる正当な努力をする」

 ウエストミンスター大教理問答(問135)は、次のように教えます。それによれば、自分の命と他人の命を守るために「できる限り注意深く研究し、合法的に努力すること」が求められています。そして、具体的には以下のとおりです。

① 誰の命であれ、不正に命を奪うことへと向かう傾向のあるすべてのものを抑制
 し避けることによって、自分と他人の命を守る。すなわち、そのようなすべて
 の思いと企て、感情、機会、誘惑、習慣、を抑制し避けることによって。


② 暴力に対する正当防衛によって、守る。


③ 神の御手を忍耐して辛抱すること、精神の平静、心の喜びによって、守る。


④ 食物、飲物、医薬、睡眠、労働、娯楽を適切に用いることによって、守る。


⑤ 慈悲深い思い、愛、同情、柔和、温順、親切によって、守る。


⑥ 穏和な礼節ある言葉づかいや行為、忍耐、進んで人と和らぐこと、傷害を忍ん
 で耐え、また許すこと、悪に対するに善をもってすることによって、守る。


⑦ 悩む者を慰め助け、罪のない者を保護し防御することによって、守る。